夢のシンデレラ企画

天然のヘナ色素ってナニ?/「夢のシンデレラ企画」

無毒良品No.6

天然のヘナ色素ってナニ?

著者紹介

島田邦男

琉球大学発ベンチャー企業

琉球ポーテ株式会社

代表取締役工学博士

島田邦男 様

はじめに

染毛剤は酸化染料によって毛髪中の化学反応を伴うため、色持ちは良いが皮膚へのかぶれ等が発症することもある。そのため、半永久染毛料の一種でヘナ(ミソハギ科の低木Lawsonia inermis) によって毛髪にダメージを与えず髪の色を変える製品がある。合回はこのヘナ配合製品から天然色素について考えてみたい。

ヘナとその含有量

ヘナはインド等で自生し、その葉をクレオパトラもマニキュアとして爪に使っていた。私が住む沖縄では台風に強いことで栽培されている。成長すると木の高さは3~6mの低木で、葉は先の尖った長さ3cm、幅1.5cmほどの楕円形である。

髪染めとして使う場合、大きく育ちすぎてしまうと染色力が落ちるため100cm程に育った状態で収穫する。

多年生の植物で株を残せば、また枝葉が伸び収穫が可能で古いものでは数10年にもなる。

園内では2001年より企業の責任の下で化粧品への配合が認められた。ヘナの葉の中には赤橙色の色素 2-hydroxy-1.4-naphthoquinone(図1 以下、ローソン)を酸性下でケラチンと結びつくことが知られている。

この色素は、植物成分であるためぱらつきがあるが、最大2%含まれている。

ヘナ配合の白髪染めを訴求した市販製品12品(参考品2品を除く)は、ローソン含有量についてはパウダータイプやクリームタイプの一部は含有していたが、ほとんど模出されない製品もあり、それらはヘアマニキュアなどのタール系色素の染料表示があった(図2)。

このことはヘナによる染毛と受け取られる表示であり誤認を招く恐れがある。

また、仮にローソンは白髪を染めると淡赤から淡褐色になるだけなので、インディゴ(藍の染料)等の植物染料を表示し配合する製品が多い。

図1 ミソハギ科のヘナと色素成分ローソンの化学構造1図2 ヘナ色素ローソンの含有量2

染毛効果

この製品の白髪を染める効果がどの程度期待できるかを調べるために、白髪割合30%の毛束を表示の基本的な方法では、染毛性能は低く、白髪の半分くらいが染まったと評価されたのは市販製品12品目中3品目のみであった。

その中でパウダータイプ4製品について、効果が実感しにくい場合等に「何度かくり返し使用するか、ペースト塗布後の放置時間を長くする」との記載がある。

これらの製品表示に従って、染毛回数を増やして繰り返し使用するか、塗布後の放置時間を長くすると評価が高くなった(図3)。

図3 条件を変えたヘナ染毛効果

特に染毛回数を増やすと効果的であったが、ヘナで白髪染めをする場合は、何度ち繰り返し使用しなければ効果が実感しづらい結果になった。サロンではこの手技をノウハウとして身に着けている美容師もいる。

安全性

シャンブーなどリンスオフを除くヘナ訴求10品目について、永久染毛剤に最もよく使用され、アレルギーの原因物質の可能性があるpーフェ二レンジアミンについて、パッチテスト絆で24時間貼付の場合の陽性反応がどれくらいあるのか、またそれ以上あるのかについては表1に示す。

表1 ヘナ製品の48時間クローズパッチテスト要請(+)反応数

pーフェニレンジアミンは強い++以上の陽性を示したヒトもいたが、ヘナ配合品は++以上の強い反応が出たものはなく、また+の陽性反応が出たヒ卜の数も少ないことから、安全性が高いと考えられる。

永久染毛剤でかぶれ等を起こしたことのあるヒト(34名)ではpーフェニレンジアミンに陽性反応を示したヒトが最も多く(13名)、ついで製品No.1、2 、3、6 、7 が 7~10名と多かった。

他の品目の陽性のヒ卜数は 0~5名であった。

これに対してかぶれ等を起こしたことのないヒ卜では、陽性が多かったNo7 (6名)を除くと他の品目は陽性の数は 1~3名と、かぶれを起こしたヒ卜より少なかった。

両群を通じて陽性率が高いのはNo.7 (16名)であった。

また、永久染毛剤でかぶれ等を起こしたヒト(34名)のうちヘナの使用経験がある人(10名)を除いた24名では、ほとんどの銘柄に陽性反応が出ており、ヘナの使用経験がなくてち永久染毛でかぶれ等を起こしたことのあるヒ卜は、今回のような製品でもかぶれ等を起こす可能性があり、使用する際には注意が必要である。

使用性

匂いについては全ての品目で感じられ、No.1~4のパウダータイプが嫌われる強い匂いをもつ傾向がみられた。また、染毛後の毛髪からの移染は1品目を除いて見られないが、一旦色がつくとなかなか落としにくい。

おわりに

染毛剤やスタイリング剤などヘアケアでは合成原料が多く使用されてきた。近年、合成より天然をソースとした方が市場ニーズは圧倒的に高い。

しかし、元々の化粧品素材は天然素材しか使用されていない。

例えば平安時代には鳳仙花(ほうせんか)の花で爪を染める爪(つま)紅(くれない)という風習があった。

今はニトロセルロース等がその代替になった。

グリセリンは化粧品原料では植物由来品だが、医薬品は高純度を必要とするため石油由来である。

ヘアカラー市場はシャンブーを抜く大きな市場である。消費者の側では選択の幅がひろがったことが事実であるだけに、賢明な判断をお願いしたい。

参考文献

1) http://www.naiad.co.jp/products/naiadhenna/henna100_material.html (2017年12月22日)
2)国民生活センタ一報告書ヘアカラーリング剤 独立行政法人国民生活センタ編ー(2007)

 


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